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「いのうえ」さんのコート

どうにか。

 

パソコン仕事にめどがつき、

さぁ、プリントアウトしてチェックしよう、と思いきや

プリンターのインクが切れていることが判明した、昨日の午後。

 

 

そもそも、昨日は事故発生日、でした。

連休中日。平穏に、かつ経済的に過ごそうと

遅めの朝食を、自分でやいたフランスパンですましていたら

発酵バターをのせて、かりっと噛んだ一口目で

「グキッ」と、ものすごい感覚が口の中に走り…。

そう。

去年の今頃、ソウル行きを前にあせって直した前歯の一本を、やっちまったのでした。

折れてはいないものの、生えかわる前の乳歯みたいに、くらくら、してます。

ああ、きたるべきリフォームのために、外食禁止で経済するつもりが

かえってお金のかかる結果に…。

がっくし。

 

 

そんなわけで「事故」翌日の今日は、まだダメージが大きく。

友達を誘ってさむぎょぷさる、という計画もとりやめ。

 

『今日はただもう、ひっそり、穏便に暮らそう、

 ただもう、プリンターのインクだけ買いに出たら

 あとはビデオでも見て、ビールでも飲んで、さっさと寝てしまおう…』

 

そう思って、下手な誘惑受けないよう、わざわざ繁華街のはずれの電気屋さんまで

愛車シゲオと出かけたのです。

 

 

ところが。

なにせめったに停めたことのない場所だもので

そばに古本と古着を商う小さなお店を発見してしまい。

「100円くらいで中古の文庫本買うくらい、ま、いいか」と、のぞいてみると。

 

 

そのコートは、お店の奥で、古びた服にまじって、つりさげられていました。

きれいなキャメル色。

ロングとハーフの間くらい丈で、何か懐かしいような、ステンカラー。

遊びのつもりで羽織ってみると、まるで羽のように軽い。

衿と身ごろと、袖に回したベルトに、明らかに手仕事と思われるステッチが施されています。

裏地も上品な刺繍入りの布で、左身ごろの裏にはipodがしのばせられるような内ポケットもある。

タグには「洋装 ノダ KYOTO」の文字が。

そして、タグにつけられた手書きの値札は「2000円」。

 

 

眺めているうちに、昔見たハリウッド女優のプライベートショットが

いくつか浮かんできました。

 

ひとつはグレース・ケリー。

モナコ王妃になる直前、最後のハリウッド映画撮影中のスタジオでの、このカットです。

 

 
 
もうひとつは、オードリー・ヘップバーン。
確かコート姿で目をつむり、考え事をしているような。それも、撮影の合間のカット。
家に帰ってから確かめると、それは、次のような写真でした。
 
 


 

 

古着屋の2000円のコートで、畏れ多くもハリウッド女優を思い出す

自意識過剰な、わたくし(笑)

 

で。経済第一、のはずだった私は結局、その羽のようなコートを

プリンターのインクとともに、連れ帰ることにしました。

30分、迷ったあげくに。

難点だったのは、袖が異常に短いこと(笑)。

きっと、とても手の短い女性だったのでしょう。

だからわざわざ京都の洋装店で、自分の体に合うコートをあつらえたのでしょう。

 

「とても軽いんですけど、このコート、材質はなんでしょう?」

お金を払う前に店番の女性に尋ねると

「たしかカシミアだっておっしゃってたんですけどね。

 ついこのあいだ、けっこう高齢の女性が持ってきたんですよ、そのコート。

 ずっと大切にしてたけれど、もう着ることはないだろうってね。」

 

 

家にもどって。

たたみじわをとろうとアイロンをかけたら、ほんのり、樟脳の香りがしました。

 

1針1針、丁寧に走るステッチ。ミシンのものではない、手仕事の趣です。

京都で。キャメル色のカシミアで仕立てたコートは、きっと高価なものだったはずです。

長く着られるように、一番オーソドックスな形を選んだのかもしれません。

布というのは素直なもので、保管状況がくっきりわかる。

たたみじわとはいえ几帳面に折られた跡に、持ち主だった人の佇まいがうかがわれます。

アイロンを滑らすうちに、前たて?の脇に

小さな名前が刺繍されていることに、気づきました。

 

ひらがなで、「いのうえ」。

 

そうか、前の持ち主は、井上さんだったのね。

「井上」さんは、旧姓だろうか。それとも、結婚後の苗字か。

井上さんは、このコートを通勤には着なかったんだろうな。

毎日着れば擦り減るはずの袖口が、きれいなままだったもの。

井上さんはきっと、あまり大きな鞄を持つ人ではなかったんだろうな。

女性で内ポケットなんて、大きな鞄を持つ女性にはあまりないにちがいない。

 

想像ですが。

井上さんは、ほんとうに大事な時に、このコートを羽織ったのでしょう。

クラッチバッグとかハンドバッグとか、コンパクトとお財布をしのばせれば満杯のような

小さなバッグと一緒に。きっとその時は、滅多にはかない?ヒールなどを選んで。

誰にも譲る気がなかったか、あるいは、大事な娘にだけ譲ろうと思ったか。

わざわざ名入れを頼むには、それなりの覚悟が、必要だったはずでしょうし。

 

 

 

いのうえさんのコートに、この冬の私を、お任せすることにしました。

 

 

 



 

 

冬の服のコートは、私にとっては特別です。

なにか、「わたしをおまかせする」みたいなきもちが必要になる。

もしかしたら。

袖がつんつるてんで、今のデザインよりは若干肩幅が広く

(なんつったって今のデザインはなんでも若向き、ボディライン強調型っすから・笑)

「古いものを引っ張り出した」感があるかもしれないけれども。

「いのうえ」さんに流れた歳月に、私も何かを、たのんでみよう。

 

 

 

さてさて。妄想劇場はこれくらいにして(笑)

明日は「いのうえ」さん着用の上、あさいちで歯医者へGO、です。

ううう。アイゴー。

 

 

おまけ。

 


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